5章:外部性

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地球温暖化問題が解決困難な理由

花子
花子

ちょっとぉ。外部性の話はどこいったのよぉ。この章のタイトルでしょう。

センセ
センセ

ゴメンゴメン熱くなって横道にそれすぎてしまった。実は、地球温暖化問題が外部性の問題なんだ。

太郎
太郎

えっ!? そうなんだっけ。

センセ
センセ

そうだよ。ガソリンを買って、それを使って車を運転する事を考えてみよう。ガソリンを売った人も、車を運転した人もハッピーになる。しかし、その時に出たCO2が世界中の人にマイナスになるんだ。

売り買いをする人とは無関係な別の人に悪い影響が出る。だから外部性だよ。

花子
花子

でも、さっきと同じで、ピグー税って、税金をとれば解決っていう話なんじゃないの?

センセ
センセ

おぉ。さすが花子さん、よく理解しているね。CO2排出など地球を暖めることをするのに税金をかける方法がある。そういうのは、CO2のように炭素が関わっている事が多いから炭素税といわれているよ。これはピグー税の一種と考えていいね。

太郎
太郎

税金あげるの反対!

センセ
センセ

もちろん、単に税金あげるんじゃなくて、ちゃんと集めた税金を還元したり、他の税金を減らしたり工夫する必要があるよね。それに、とりあえずは、車に使うガソリンの税金は変えずに、発電用の石油の税金を増やして、再生可能エネルギーの発電を促す方法もある。

花子
花子

それでも、簡単には賛成しないわよね。皆、税金をあげるのに反対するからというのが困難な理由なのかしら。

センセ
センセ

そこは確かに困難な理由の一つだけど、それだけじゃない。国と国の間の問題が深刻なんだ。炭素税をかけてある国が温室効果ガスを減らした場合、その国だけではなく他の何もしない国もその恩恵をえることができてしまう。

太郎
太郎

世のため人のためでいいじゃない。

センセ
センセ

そうはいかないよ。恩恵は皆等しく受けるけど、その費用は負担した国だけが払う。損してしまうんだ。たとえば、炭素税をかけている国の商品が割高になってしまって国際的な競争で負けちゃうかもしれないんだ。

そういった場合、下の図のようになってしまうんだ

花子
花子

あっ。この間、法人税の引き下げ競争の話の時と同じものね。

センセ
センセ

花子さん今日はキレッキレだね。その通りだよ。

4章の話と同じだ。この表のように、お互いに協力すればよい状態があるけど、互いに、少しでも得をしようと争うために結局、悪い状態に陥ってしまう問題を「フリーライダー問題」とか「社会的ジレンマ」というよ。

炭素税以外にも方法はあるけど、結局、同じ社会的ジレンマ問題を抱えるんだ。

花子
花子

でも、パリ協定で対策が進んでるんじゃない?

センセ
センセ

おぉ。花子さん、すごいね。パリ協定をちゃんと知ってるんだね。

太郎
太郎

なにそれ?? Cちゃんがチラッと言ってたけどよく分からないよ。

センセ
センセ

地球温暖化問題についての取り組みを決めた約束事だ。産油国も含めて、世界中のほとんどの国が参加してるんだよ。本当にすごいことだよ。

太郎
太郎

へぇ。なるほど、それらがあるから安心ってわけだね。

センセ
センセ

いや、そうではないよ。確かに、いろんな国が、野心的な目標をたてて、動き出している。でも、その目標が達成される保証があるわけではない。

花子
花子

でも、約束してるんでしょ。国ともあろうものが、約束は守るでしょ。

センセ
センセ

約束といっても、達成できなかったからといって罰則があるわけでもない。だから、約束通りになる保証はないんだ。

花子
花子

そうすると、オレンジ色の線も実現できない可能性があるって事?

センセ
センセ

そうだよ。国同士が協力できなければ、そうなる。 そして、花子さんたちは若いから、先ほどのグラフの右端のあたりまで生きる事になる。その結末を見届けることになる。

太郎
太郎

なんだか怖いよ。どうしたらいいの?

センセ
センセ

経済格差をどうやって減らすか、地球温暖化にどう対処するのか、最後にぶつかる根本問題は同じだ。国と国が協力できるか否かだ。この問題に、花子さん、太郎くんがどうたちむかえばいいか、最後の7章で話をしよう。

花子
花子

どうせ、無理難題を押し付けるんでしょ。

センセ
センセ

そんなことないよ。無理な話をしても、花子さんたちが行動に移してくれないことは知ってる。だから、二人でも行動に移してくれそうな簡単にできる事を話すよ。