宝くじがあたるなんて例外中の例外だよね。「運」で金持ちってめったにない事だよね。
いやいや、そんな事ないよ。皆が持っている「運」がある。どんな家庭に生まれるかという「運」だ。それを分かってもらうためにこれを作ったよ。
なに、これ?
自作の人生ゲームさ。今の人々の人生がよくわかるものだよ。
なによ、唐突に! 話を変えて、ごまかそうとしてるでしょ! だいたい、このゲーム、ます目にイベントが何も書いてないじゃない。
そうそう。ほめてくれてありがとう。イベントなしでシンプルでいいだろう。
ほめてなんかないわよ!
上に書いている「Step1~」という説明は何?
ゲームのルールだ。たった3つのステップで終わる簡単なゲームだよ。細かいことは、遊んでみたら分かるからやってみよう。はい。花子さんサイコロふって。
なんで、私がゲームに参加することになっているのよ!
えぇ~! 太郎くんが、先にサイコロふるのでいいの!?
あぁ、もう。抵抗しても疲れるだけだわ。サイコロふればいいんでしょ。はい。
あら、1が出たね。1個進んで。
次は僕だね。よし、4が出たぞ。4個進むね。
よし、Step1が終わったね。これが、この人生ゲームの生まれの運を決めるサイコロだ。これで親の経済力が決まった。
ふん。ボンボンの太郎くんよりうちは貧乏よ。
怒らないで、あくまでもゲームだからね。しかも、次は、サイコロじゃないよ。Step2のサイコロの目は、テストで決まるんだ。
えっ! テスト! そんなの絶対、ダメダメ。
ねぇ。花子さん。
望むところよ! 太郎くん、勝負よ!
というわけであきらめて。これがテストの紙だ。
さあ、開始!
ぎぁ~。分からん。
...。はい。終了。回収してっと。
おぉ! 花子さん6問全部正解。すごいぞ! サイコロの目は6だ。
これが私の実力よ!
太郎くんは、2問だけ正解だね。
サイコロの目は2だね。
これで逆転だわ。
逆転できたかみてみよう。 すごろくの絵の上の方の「Step2~」の所にルールが書いているよ。特殊なルールだから気を付けて。花子さんは「1」のマス目にいるから、まず、1個進んで。
えっ。はい。1だけ進んだわよ。
その後、Step2のサイコロの目である6進む。
不思議なゲームね。はい、6進んだわよ。
太郎くんは、「4」のマス目にいるから、まず、4進んで、その後、サイコロの目の2進む。
あれっ! 逆転してないわ。
最初のサイコロの影響で、逆転まではいかなかったね。
はぁ。なによ、これ!
Step 2は本人の経済力だよ。親の経済力が高いほど、子供の学歴が高くなり、子供の収入が高くなる傾向がある。だから、まず、今いるマス目分進んだんだ。本人の経済力に親の経済力の影響がある事を表現している。
もちろん、本人の努力も重要だよ。テストの点数が本人の努力という意味だよ。
ちょっとひどくない! しかも、Step 3も、今いるマス目分だけ進んで、それからサイコロで出た目だけ進むって事。
正解。すばらしい理解だよ。Step3は普通にサイコロをふるよ。
なによそれ! 差が広がるだけじゃない!
最後のStep3の意味はなんですか?
前の章で話をした株式投資などの資産運用がStep3だ。「親の経済力」+「本人の経済力」で決まる元手となる資金を使って資産運用する。遺産相続とか生前贈与とかあるから、ここでも「親の経済力」が関係するんだ。元手が大きい程、資産運用で得られる利益も大きいんだ。
資産運用ってちょっとピンとこないな。
前の章で話をした株式投資が資産運用の一つだ。比較的、敷居が低い株式投資でもある程度の資金が必要だし、不動産投資ならもっと元手が必要だ。一方で、資産がない人は住宅ローンなどを抱えてマイナスの資産運用となる。
ある程度、資産をもってないと資産運用できないし、もっている資産が大きい程、えられる利益も大きいんだ。
何よ、これ。最初のサイコロの影響が最後まであるじゃない。
そうそう。Step1のサイコロの目の影響は大きいね。でも、逆転がないわけじゃないよ。
逆転は、そんなにおきないわよ。最初のサイコロでかなり決まるってちょっとやってられない。全然おもしろくないわ。何よこのゲーム。
まさに、人生ゲームだ。
むかつく~。暴れるわよ!(怒)。
ごめんごめん。分かりやすくするためにかなりデフォルメしてしまった。現実は、こんなにひどくないよ。このゲームは、極端で、親の経済力に頼らず本人の努力で成功する人もいれば、親の経済力が高くても、うまくいかない人もいる。逆転のチャンスは、もっといっぱいある。
え~っと、何の話で、こんなゲームしたんだっけ。
「運」でお金持ちになったからといって偉いというわけではないという話だったよね。このゲームでみたように、親の経済力という運の影響があるから、単純に、お金持ちの方が偉いとはいえないんだ。もちろん、すごい努力した人は別だけどね。