なんですか、センセ。その満面の笑みは？
ふふふ。太郎くん。この新聞の切り抜きを読み上げてくれないか。
花子さんは、この宝くじの番号をよく見てね。
1等。〇〇組 XXXXXXX
えっ。全部、一緒。一等、３億円！！
うぁはははは。これで、贅沢ざんまいじゃ。
すげぇ！ センセ！
センセ、このお金で何をしようとしてます？
う～ん。海外旅行にでもいって、寿司をくいにいって、それからそれから…
ちょっとセンセ聞いていい？
センセは、この宝くじを手に入れるために何をしたのかしら。
えっ？ 宝くじ売り場にいって、３００円払ったんだけど。
センセ。この間、「お金は名前なしお返し券だ。」っと言ってなかったかしら。前に行ったよい事のお返しをしてもらう券ですよね。さて、センセの宝くじを買うという行為は、3億円の贅沢にあたいすることなのかしら。
うぅぅぅ。
センセが言った「お金は名前なしお返し券」が正しいとすると、センセは、今、とんでもない「ずる」をしようとしているのよ。ほとんど何もしてないのに、3億円分のお返しを皆にしてもらおうなんてどうかしてませんか？
うぉ。俺は何てことを…。
未遂で、よかったわ。センセ。その宝くじを渡しなさい。私がめぐまれない子供たちに寄付してあげるわ。
ありがとう。花子さん。はい、これ、めぐまれない子供たちに届けてくれ。
やった！このお金は、めぐまれない子供の私たちがもらってあげるわ。太郎くん、山分けよ。逃げるよ。
ナイス。花子さん！
おのれ、花子！
ガハハハッ。
花子さん。ちょっと待って。
何よ。山分けしてあげるというのに不満なの？
そうでなくて、その宝くじ「サマージャンボ宝くじミニ」って書いている。
だからなによ。
僕が読み上げた当選番号は、「サマージャンボ宝くじ」で「ミニ」がついていないよ。
えっ！ って、ことは、ハズレ？
おう。そうじゃった。思い出したぞ。昨晩。おしいのにハズレだと、ジタバタしていたんだった。それ、花子さんにあげるね～。どうぞ。
こんなのいるか！ センセ、気付いていてだましたでしょ！
いや本当に忘れてたんだって。
そんなわけあるか！
それより、花子さん。さっき鋭い事をいったね。
「何もしてないのに、3億円分のお返しを皆にしてもらおうなんてどうかしてませんか？」という言葉はドキッとしたよ。ちょっと、いい過ぎで、宝くじでもらったお金は、ルールに基づいてもらったお金なんだから自分のために使っていいと思う。でも、宝くじのように「運」で、金持ちになった時は、「偉い」わけではない。
