2章:価格の正体

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賃金の決まり方

太郎
太郎

ところで、センセ、1章の最後に「お金持ちが偉いってこと?」という問いにこの章で答えると言ってませんでしたか?

センセ
センセ

そう! その話をしたかったんだ。人が働いて得るお金、賃金も需要と供給のバランスで決まると考えるといいんだ。

太郎
太郎

えっ?? 人が商品なんですか? それ、人身売買です。

センセ
センセ

もちろん、人は商品ではないよ。でも、人自身ではなく、その「労働」が商品として市場でやりとりされているイメージで考えると理解しやすいんだ。

太郎
太郎

より分かりにくい気がしますが … 。

センセ
センセ

まあ、とりあえず聞いてくれ。働く人が供給側で、雇用する企業側が需要側だ。

センセ
センセ

普通の商品では、企業の方が、供給側だけど、「労働」を商品とする時は、逆で、企業の方が需要側になるので注意しよう。お金をもらう方が供給側だよ。賃金も、需要と供給で決まる。いろんな職種があるから、職種ごとに、市場があって、それぞれに賃金(価格)が決まっていくと考えてみよう。

太郎
太郎

だんだん、分からなくなってきた。何がいいたいんですか?

センセ
センセ

供給が多いと価格が低くなりがちだったよね。同じで人気がある職種は、なりたい人が多く供給が多いからその賃金が低くなりがちなんだ。

太郎
太郎

ん? 僕、人気の職種であるイケメン俳優になりたいんですがダメですか?

センセ
センセ

ダメじゃないよ。ただ、俳優はなりたい人が多く供給が多い。だから、特別な需要がある一部の人以外は得られるお金が少ない傾向があるという原理は理解しておいた方がいいよ。

太郎
太郎

うぅぅぅ。

センセ
センセ

お金が全てではないから、お金をあまり稼げない可能性を理解した上で目指すのは悪い事ではないよ。でも、もし、お金を多く稼ぎたいと思うなら、まず視野をひろげて欲しい。世の中にはいろんな職業があって、子供がよく知っている職業は、しばしば供給が多くなりがちだからだ。

センセ
センセ

それから、誰でもできる職業も供給が増えて、賃金が安くなりがちだから、スキルを磨いて、他の人ができない事ができるように努力をするのも重要だよ。

花子
花子

いい加減にして! さっきから、話が横道にいってばかり!

センセ
センセ

あっ。花子さん復活した。

花子
花子

復活なんて、できないわ。今日は、すぐに帰ってふて寝するの。だから、「金持ちが偉いという事じゃない」って話終わらせてよ。

センセ
センセ

ごめんごめん。その話だったね。ポイントは、 市場で決まる賃金が、その労働の価値ではないという事なんだ。 人気がある職業や、比較的おおくの人ができる職業は賃金が低くなりがちだ。 でも、それは、その労働の価値が低いことを意味していない。 だから、お金を多く稼ぐ人ほど、価値がある仕事をしているとはいえないんだ。

太郎
太郎

なんかピンとこないな。重要な仕事をする人ほど、高い賃金をもらっているんじゃないの?

センセ
センセ

極端な例を考えると分かりやすいよ。たとえば、この世の中から、ごみ収集の人が一年間いなくなる事を想像しよう。町中にゴミがあふれ、匂いもひどく、交通も困難になり、ちょっとした事で燃え出したりもするだろう。都市機能がマヒし、生き死に関わる大問題になってしまう。

太郎
太郎

確かにゴミ収集って地味だけど重要な仕事だよね。給料は、高くなさそうだけど。

センセ
センセ

そうだね。特に、今は、民間委託が進んでいるから平均的な給料は高くないよ。
それでは、別の例として、カジノのディーラーを考えよう。カジノのディーラーが一年間いなくなったらどうだろう。

太郎
太郎

カジノ?日本にあったっけ?

センセ
センセ

角が立たないように、まだ日本にいない人の例にしちゃったゴメンね。近いうちに日本にもカジノもできるみたいだから許してね。

花子
花子

なんだかちょっと大人の事情ね。
カジノが日本にできた時の事を想像するのね。まあ、一年間カジノが中止になっても困る人はそんなにいないわよね。

センセ
センセ

そうだね。一方で、華やかな仕事だから給料はそれなりにいいだろう。ごみ収集の人より高い給料となる事は間違いない。ごみ収集の人はカジノディーラーより重要な仕事をしているけど、給料は低くなるんだ。

太郎
太郎

う~ん。そういわれると、重要な仕事をしている人ほど、お金持ちになれるというわけでない事がわかりますね。

センセ
センセ

そうだ。だから、誰かの労働に、ビー玉のように低い価格がつけられても、決して馬鹿にしてはいけない。その労働の価値は、しばしば価格よりずっと高いのだから。万一、自分の労働に低い価格がつけられてしまったら、まず、思い出して欲しい。ビー玉にダイヤより高い価値を感じる人がいる事を。

太郎
太郎

価値が高い仕事をしていても賃金が低い事があるなんて、なんかとても不公平な気がする。

センセ
センセ

そうだね。でも、市場の力で調整しないと、みんな好きな事ばかりやりたがって、不人気な仕事をしないようになってしまう。それに、高い給料を得られるようにスキルを磨いて、お金が多くもらえる職につこうとする努力が減ってしまう。

花子
花子

でも、いっぱい働いているのに安い給料でうんざりしてる人も多いのよ。

センセ
センセ

そうだね。たしかに現状には問題があるよね。でも、長くなってきたから、この話は、また別の章で話をしよう。ここで話をしたよりずっと問題が深い事を4章で話すよ。さらに、1章でみたようにお金の力(市場の力)はすごいけど、例外的にうまくいかない場合もある事を5章で話すよ。