1章:お金の正体

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深く掘り下げよう(1章関連コラム)

紙幣は本当に紙切れ?

紙幣は、本当に紙切れでしょうか?実はセンセがいう程、簡単な話ではありません。

紙幣は、税金を払う時に使えます。特殊な場合を除き、日本では「円」による税金の支払いが必要です。 また、法律上も「円」は特殊な位置にあり、普通は政府のお墨付きがある通貨が使われます。

ただし、政府によるお墨付きがなくても、お金のように交換の道具に使われたものの事例はたくさんあります。 一方で、ジンバブエドルのように、とんでもないインフレによって、政府の後ろ盾がある通貨が 紙切れ同然になった事例もあります。

ですから、お金の本質は「名前なしお返し券」といってもよいでしょう。 お金についての事例について知りたい方は、たとえば、フェリックス マーティン が書いた「21世紀の貨幣論」を読むといいでしょう。

また、「政府のお墨付き」は「国」を前提としていますが、国が客観的にどういう意味を持つかという問題もあります。 これについては6章で詳しくお話するので、そちらを読んで下さい。

お金を払う側が強いのはなぜ?

センセは、お金は、お返し券だから、「お金を払う側(客)より、 商品を渡したりサービスをする側、お金を受け取る側(店)が、いい事をしている 働いてお金を受け取る方がえらい」という趣旨の話をしていました。

別の考え方として、 取引は対等な交換だとして、客と店は対等な関係だと考える事もできます。いずれにしても、客の方が偉いという話にはなりません。

しかし、実際に働き始めると、この本来のあり方とは違う現実にぶち当たる事もしばしばです。 客の方が偉そうにふるまう場面が多いのです。

実は、お金はいろんなものと交換できるので、客の方に選択権があります。 そのため、客の方が強い立場になることが可能になってしまうのです。

ですから、働くときは、サービスとして客をたてて気持ちよくさせてあげる事もあります。 「商品」と「お金」を交換しているのではなく、「商品+サービス」と「お金」を交換していると考えるとよいと思います。

でも、いいことをしている偉い側は、働いている自分だというプライドは捨てないようにしたいものです。

お金の機能

お金の機能の中で特に重要なものとして次の二つがあります。(よくいわれるのは3つですが最後の1つは別の章で紹介します)

(1) 価値の保存機能

お金の機能として価値の保存機能があります。お金がこの世にあるおかげで、自分がしたいい事へのお返しを好きな時にしてもらうの事ができるのです。 お金がない世界では、年をとって他の人のためにする事が少なくなった時、生活に困るかもしれません。お金という形でお返ししてもらえる権利を保存しておけば歳をとった時に、お金を支払って、昔した事のお返しを受け取る事ができます。

(2) 交換機能(決済機能)

お金がない世界で、あんパンが欲しい時、どうしたらいいでしょうか?あなたが持っている物とあんパンを交換してもらわなければいけません。物々交換です。その物は、店の人があんパンより欲しいものであって、あなたにとって、あんパンの代わりに差し出していいものでなければいけません。 つまり、
「店の人にとって、(あんパンの価値)<(あなたの物の価値)」
「あなたにとって、(あんパンの価値)>(あなたの物の価値)」
が成り立つ事が必要です。この条件を難しい言葉で『欲望の2重の一致』といいます。でも、このように、そんな都合が事ってなかなかないですよね。 お金がある世界では、こんな面倒なことは不要です。お金と、あんパンを交換すればいいのです。

特定の人にお金を渡す場合
特定の人に、何かしてくれた場合のお礼としてお金を渡すことは避けられていますが、それ以外の場面では、特定の人にお金を渡すことはしばしば行われています。お年玉や、〇〇祝いという場合です。誕生日プレゼントも、「お礼」という場面ではないので、お金を渡しても不思議ではないのですが、友達同士のように、お互いに贈りあう関係の場合は、お金が避けられているようです。わざわざ、お金をギフト券などの「物」に換えて、プレゼントとして渡す場合もあります。物でありながら、お金に近い利便性を持ったものを渡そうとする工夫ですが、お金を渡すのを避けようとする気持ちが表れています。