1章お金の正体

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お金はただの紙切れ

センセ
センセ

今日は、この福沢諭吉の肖像画が書かれた「紙切れ」について話をするよ。

太郎
太郎

「紙切れ」って、これ一万円札じゃないですか!

センセ
センセ

ほう。君は、この紙切れを「一万円札」とよぶんだね。

太郎
太郎

何言ってんですか、どうみても一万円札じゃないですか!「紙切れ」なんて言うんなら僕に下さい。

センセ
センセ

うむ? この紙切れが欲しいのか?

太郎
太郎

めちゃ、欲しいです。くれるなら1日センセのために働いてもいいですよ。

センセ
センセ

なんと。そんなに欲しいのか。さては、太郎君は福沢諭吉のファンだね。

太郎
太郎

そんなおっさんのファンじゃないよ。一万円あれば、いろいろ買えるから欲しいです。あんパンだって、アイスクリームだって、チョコレートだっていっぱい、いっぱい買えるから欲しいんです!

センセ
センセ

「買える」とな。うーん。「買える」の意味を説明してくれないかな。

太郎
太郎

センセ、頭、大丈夫ですか? お店に行って、一万円札を渡せば、あんパンとかチョコレートとか、いっぱい、くれるってことですよ。

センセ
センセ

えぇぇ。なんと、こんな紙切れのかわりに、おいしい食べ物をくれるというのか。う~ん。わかった! その店の人は福沢諭吉のファンだね。

太郎
太郎

そんなわけないでしょ。店の人は、その一万円札で、また、別のものを買う事ができるから、一万円札が欲しいんですよ。

センセ
センセ

わかった! その最後に紙切れを受け取る人が諭吉ちゃんのファンだね。

花子
花子

センセ、いい加減にして下さい。「ファンだね」ってもう3回目です。

センセ
センセ

ごめん。ごめん。

花子
花子

しっかりして下さい。ちゃんとオチをつけてくれないと笑えません。

センセ
センセ

えっ。そっち!

センセ
センセ

とにかく、皆、いつも、お金で物を買ったりしているけど、これはとても不思議なことなんだ。今のお金は、本当に、紙切れにすぎないからだ。

太郎
太郎

「今の?」昔と今で違うというの?

センセ
センセ

そう!そうだ太郎君いい質問だ。大昔は、お金は「金(きん)」などで出来ていた。金(きん)は、溶かしていろいろな装飾品を作ることもできるし、そのものでいろいろ価値があったんだ。

太郎
太郎

あっ、金貨ってやつですね。なんかで見た事があります。

センセ
センセ

そして、わりと最近までは、金ではないけど、兌換(だかん)紙幣だったんだ。

太郎
太郎

「だかん」??

センセ
センセ

そう。ちょっと難しい単語だけど、兌換とかいて「だかん」と読む。

太郎
太郎

(なんか、眠くなる話になりそうだ)

センセ
センセ

兌換紙幣では、政府が、価値がある「金」と交換すると保証してくれているんだ。 ところが今使われているのは不換(ふかん)紙幣。政府は何かと交換する約束をしていないので本当に紙切れなんだ。

太郎
太郎

すみませ~ん。さっきから話が分かんないです。何、言いたいんですか。

センセ
センセ

「この一万円札は本当に紙切れにすぎない」っという事を言いたいんだ。

センセ
センセ

この紙切れをそのまま使おうとしても使えない。食べてもおいしくない。

花子
花子

使えないわけないじゃない。ものを買う時に使えるでしょ。

センセ
センセ

買う時に使えるのは、紙切れと価値あるものを交換してくれる人がいるからだ。その人が交換するのも、別の人が、その紙切れと交換に何かしてくれると思っているからだ。

センセ
センセ

結局、どこまでいっても、他の人が交換してくれるという根拠しかない。紙切れ自身に価値はない。「紙きれに価値がある」と思ってくれている人がいなくなったら本当に紙切れになるんだ。

太郎
太郎

センセの言っている意味が、よく分からないけど、僕は、小さい頃から、普通にお金で買い物できてますよ。

センセ
センセ

いや、そういう事ではなく、当たり前と思っている事を見つめなおす事で、いろいろ発見がある。これが学問というものなんだ。

太郎
太郎

学問ってめんどくさいな。学問ヤ~ダ。

センセ
センセ

太郎くん…。学問やだなんて… 君は福沢諭吉のファンではなかったんだね。