1章:お金の正体

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コレがお金の本質だ

センセ
センセ

ところで、太郎くん。先ほど、あんパンが買える、アイスクリームが買えると、食べ物ばかりを例にあげてたね。どうしてだ?

花子
花子

センセ。太郎くんお弁当を忘れて昼ご飯たべてないからお腹がすいてるんですよ。

太郎
太郎

センセ聞いてくださいよ。花子さんったら、お弁当をわけてとお願いしたのに聞いてくれないんですよ。

花子
花子

そんなの嫌に決まってるでしょ。

太郎
太郎

お弁当わけてくれたら、明日、お返しするといっているのに、ダメなんですよ。

花子
花子

そんな約束、太郎くんが守るわけないじゃない。

センセ
センセ

う~ん。なるほど、確かに口約束だけでは不安になるのも無理はない。それじゃこうしたらどうかな。

(紙にカキカキ)
センセ
センセ

じゃじゃじゃん!

名前ありお返し券
花子さんは、太郎くんに300円分のいい事をしました。 この紙と交換に太郎くんは、花子さんにお返しをします。
センセ
センセ

どうだ。これで、太郎くんにお返しの義務がある事がわかるだろう。

花子
花子

センセ、ダメよ。太郎くんは、そんな紙切れがあっても、お返しなんかしてくれないわ。

センセ
センセ

そうだね。花子さんのその気持ちよくわかる。

太郎
太郎

センセまで、ひどい!

センセ
センセ

いや、太郎くんだからという意味ではないよ。お返しをしない方が得だと思って誰もお返ししないかもしれないって事だよ。

太郎
太郎

証明する紙があるのに?

センセ
センセ

だって、お返しをしてくれないからって、訴えようとしても、裁判所にいく交通費だけで300円超えてしまう。だから、誰も訴えない。そして、訴えないなら、お返ししない方が得だと思えるだろう。

太郎
太郎

訴えるなんて大袈裟な。

センセ
センセ

まあ、少額な名前ありお返し券に意味がないことのたとえだ。

花子
花子

そういうわけよ太郎くん。私が正しかったのよ。

センセ
センセ

ちょっと待て、花子さん。それでは、紙に書いている内容を変えてみたらどうだろう。太郎くんと花子さんの名前を消してっと。

名前なしお返し券
この紙の持ち主は、ある人に、300円分のいい事をしました。 この紙と交換に、 誰かが、この紙を持っている人にお返しをします。
太郎
太郎

センセ。怪しさ100倍増しになっただけですけど。

花子
花子

いやまって、太郎くんの名前を消したのは、評価できるわ。でもね。センセ。その券に書いているある人誰かって別の人でしょう。

ある人にしたよい事のお返しを他人誰かがするって、そんなおかしな事あるわけないじゃない。

センセ
センセ

不思議にみえるかもしれないね。でも、実際に、そんなおかしな事がおこなわれているんだ。実は、お金は、「名前なしお返し券」なんだ!

太郎
太郎

センセ意味が分かりません。

センセ
センセ

まず、お金を使って『ある人にしたよい事のお返しを他人誰かがしている』のを確認してみよう。

先ほどの「諭吉のファンだね。」と言っていた話をふりかえるとわかるよ。まず、太郎くんが僕のために働いて「お返し券」つまりお金をもらうんだよね。

センセ
センセ

そして、太郎くんが、その「お返し券」を店にもっていくと、店の人が、あんパンだとか、アイスクリームとか、おいしい食べ物をくれるんだ。
太郎くんが僕にしてくれた事のお返しは、他人である店の人がしてくれるんだ。

花子
花子

う~ん、たしかに他人がお返しをしてると見えなくはないけど…。だいたい、「名前ありお返し券」の時お返ししてくれないかもって言ってたのに、「名前なしお返し券」なんてふざけたものがうまくいくわけないじゃない。

センセ
センセ

そうでもないんだよ。名前がないからこそのメリットがあるんだ。「名前ありお返し券」は、その名前の相手が受け取りを拒否したらもう使えないけど、「名前なしお返し券」なら、一人がダメでも他の人がいる。

センセ
センセ

それに、「名前ありお返し券」なら、その相手と会った時しか、使えないけど、名前なしなら、いろんな人と使えるから使える機会も多いんだ。それに、そもそも、信頼している人となら、お返し券なんて使わず協力しあうから「名前あり」のお返し券の出番はほとんどない。

花子
花子

でも、センセの手書きの紙がお金って変じゃない。

センセ
センセ

ごめんごめん。分かりやすさのためにお金の意味を手書きしたけど、もちろん、量がコントロールされたもの、つまり、偽造できないものでなければいけない。