1章:お金の正体

この記事についてツイート
↑ツイートしてね♪

「お金の本質」からみえてくること

センセ
センセ

もちろん「名前なしお返し券」が有効になる。つまり、それを価値があると思う人がそれなりの数になるのはとても大変な事だ。でも、一旦、ある程度の数の人が、それに価値があると信じてくれれば、どんどん利用されていくようになる。 名前すら知らない、一度しか会う事もないような人とでもお金を使ってお返しをしあうことができる。 お金は人類最高の発明品の一つだと考えていい。

花子
花子

最初は、紙切れなんていっていたのに、急に態度が変わるのね。

センセ
センセ

紙切れは紙切れだよ。でも、名前も知らない誰かとも協力するための道具だ。お金を使ったやりとりは欲にかられてかもしれないが意外にうまくいく。 お金のやりとりが増えて、経済が活性化するのは、基本的にはいいことだという原則は理解して欲しい。 そして、働いてお金を稼ぐというのは、誰かに何かいい事をする事だから素晴らしい事だというも理解しておいてね。

花子
花子

お金を持っているのは、誰かにいい事をした証拠というなら、お金持ちが偉いってこと? そういいたいの?

センセ
センセ

そう簡単に お金持ちが偉いとはいえないんだ。それについては2章や4章などで話をするよ。

花子
花子

なに、その先送り。結局、何がいいたいんですか?

センセ
センセ

とりあえず、「お客様は神様」なんかじゃないという事を分かっておいてね。
いい事をしているのは、お金と交換に、あんパンとかアイスクリームを渡している側。働いている側だ。本当は、お金を払う側が「ありがとう」と言うべきところだ。

太郎
太郎

買うたびに「ありがとう」といわなければいけないの。面倒だな。

センセ
センセ

まあ、日本では、店員の方がサービスの一環として「ありがとう」と言う習慣になっているから、そうしなくていいけど、お金を払う側は、単に紙切れを渡しているだけ。前にした事のお返しをしてもらっているとはいえ、お金を払っているから偉いというわけではない。その本質は忘れないでおこうね。

花子
花子

なんだか、分からないけど、結局、太郎くんは、お弁当を分けてほしければお金を払えばよかったのね。

センセ
センセ

違う違う。話を面白くするために、例に使ってしまったけど、そういう時にお金を払うのは、問題だよ。お金は基本的には「名前なし」の誰かとの協力のための道具で「特定の誰か」との協力の道具ではないんだ。普段、知ってる人に何かしてもらった時、お礼にと物をあげる事はあってもお金をあげる事はないだろう。

太郎
太郎

たしかに、そうですね。まあ、僕、そもそも、お金あまり持ってないし。

花子
花子

お金なら、好きな時に好きなものを買えるからいいのに。

センセ
センセ

そう思うかもしれない。でも、実際は、お金でお礼をする事は避けられる。お金は、本来、匿名の誰かと使う道具なので、親しい関係の人との間では、使う事がためらわれるんだ。

センセ
センセ

そして、気を付けて欲しいのだけど、人は、特定の誰かの特別な存在になりたいと思う生き物なんだ。お金は重要だけど、人は、それだけでは、幸せになれない。店の人は、君たちの名前を覚えてくれて、特別な人のようにふるまってくれる事もあるだろう。 でも、基本的には、お金をもらう側にとっては、もっとお金を払ってくれる他の誰かでいいんだ。お金を払うだけでは特定の誰かの本当の意味で特別な存在にはなれないんだ。

センセ
センセ

そして、気を付けないと、経済が発達してお金をつかったやり取りが増えるにしたがって、お金を使わない特定の人との協力が減ってくる事がある。経済が発達すると、お金を稼ぐ時間、お金を使う時間が伸びて、自分が匿名の誰かになっている時間が増えていく。それで、孤独を感じてしまう可能性もあるんだ。