6章:国の正体

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日本は本当は〇〇にある

花子
花子

何、じらしてるのよ!

センセ
センセ

それでは、日本はどこにあるか発表します。

日本は、皆の心の中にある

のです。

花子
花子

何よ。そのふざけた答えは!

センセ
センセ

日本は、客観的なもの、物理的なものと思ってしまいがちだけど、日本は、皆の心の中にある共同幻想なんだ。

花子
花子

何言っているの! なんで、「日本列島が日本ではない」っていえるのよ!

センセ
センセ

ちょっと分かりやすくするため、日本列島が沈没してしまったとしよう。

花子
花子

ふざけてるの?! なんでいきなり日本列島が沈没するのよ。

センセ
センセ

仮の話をするとよく分かるんだ。花子さんが言うように、日本列島が日本だとすれば、日本列島が沈没すると日本は無くなるよね。でも、沈没する前に、宇宙に浮かぶスペースコロニーに皆で移り住んだらどうだろう。宇宙に新しい日本ができる。

花子
花子

はぁ。宇宙に住む! ありえない、ぜぇ~たい、ない。

センセ
センセ

ありないけど、もし、そうなったら、日本列島は無くなっても、日本が無くなるわけじゃない。つまり、日本列島は日本ではないんだ。

花子
花子

そういうのをへ理屈っていうのよ!

センセ
センセ

「思考実験」といってね。このような極端な例を考えるのは哲学の常套手段なんだよ。

花子
花子

バカげてるけどいいわ。百歩ゆずって日本列島は日本ではないって事にしてあげる。でも、日本が、心の中にある共同幻想にはならないわ。日本人を集めたものが、日本ということじゃないの?

センセ
センセ

むむ。やるな。花子さん! うーん。それでは、宇宙人がやってきたとしよう。

花子
花子

なんで、宇宙人が出てくるの! むちゃくちゃだわ。

センセ
センセ

えっ。ダメ? なら…。ハカイダー星人がやってきたとしよう。

花子
花子

ハカイダー? 「破壊(はかい)」から来てるの? 何よ、そのバカげたネーミング。 しかも、「星人」だから、結局、宇宙人でしょ。それなら、宇宙人のままでいいじゃない!

センセ
センセ

なんだ。宇宙人のままでよかったんだね。

花子
花子

よくない、どっちもダメ! 人の話、ちゃんと聞いて!

センセ
センセ

そうだ、そうだ。センセの話を最後まできかないとダメだぞ。

花子
花子

むかつく。この、くそ(ピーィ…)

センセ
センセ

あれ、花子さん、どうした! おーい。

太郎
太郎

花子さん、著者さんに連れてかれちゃいましたね。

センセ
センセ

うぅ。せっかく、花子さんと楽しく会話してたのに。

太郎
太郎

センセ、遊んでたんですね。著者さん怒ってますよ。進めましょう。

センセ
センセ

コホン。それじゃ、ハカイダー星人がやってきて世界中の人から日本に関する記憶を消してしまったとしよう。

太郎
太郎

記憶を消す? また、ぶっとんだ話ですね。

センセ
センセ

ぶっとんだ例だがとくにかく続けるよ。皆の記憶が消えてしまったら、日本の事を覚えている人は一人もいない。元日本人だった人はいるけど、日本はもうなくなってしまっているよね。心の中にある日本が無くなれば日本は消えるんだ。

太郎
太郎

う~ん。あっ、でも、日本の事を書いた本とか法律とか残ってるんじゃない。

センセ
センセ

ダメだよ。皆、記憶喪失で、日本語を忘れている。日本語の文章があっても読んで理解できる人が一人もいない。

太郎
太郎

う~ん。確かに、皆の記憶がなくなると日本国憲法とかあっても意味ないのか。

センセ
センセ

日本国憲法とかいろんな法律は、現在の日本を形作る重要な要素だ。でも、仮に突然、それが無くなっても、日本自体が無くなるわけではない。皆の心の中に日本があれば、新しい憲法や法律をつくって再生していくことができる。

太郎
太郎

だから、日本は、心の中にあるという事なんですね。